酢タマネギ

自律神経を整えることで安眠につなげる

タマネギは、料理に広く利用されているとても身近な野菜で、すばらしい薬効を持っています。このタマネギを薄くスライスして酢に漬け込んだ「酢タマネギ」が、不眠解消にとても有効なのです。

漢方では、五臓(「肝」「心」「牌」「肺」「腎」) と、それらに作用する食品をその色や味、形と結びつけて考えます。この考えでは、タマネギは「心」に作用する食品とされています。「心」は自律神経の働きをつかさどり、そのバランスを保つ役割をしています。ところが、女性の更年期や男女を問わず大きなストレスを感じたときには、「心」の働きが低下し、自律神経のバランスが崩れてしまいます。

その結果、不眠をはじめとしたさまざまな不定愁訴に悩まされるようになります。これは、若いころから冷え症体質だった人に強く現れる傾向にあります。

これに対し、タマネギのようにビタミンB1が豊富な食品は、漢方では「心」に働き、自律神経を整えると考えられています。また、タマネギには体を温めて血液循環をよくする作用があるとされています。したがって、タマネギは不眠を改善するのに有効だといえるのです。

さらに、タマネギのにおいの成分の1つである硫化アリルにも高い薬効があることが最近の研究でわかってきました。硫化アリルは、血管に血液が詰まるなどしてできけつせんる血栓を溶かして、血液の流れをスムーズにする血栓溶解作用があります。

また、血液中のコレステロールをへらし、血栓ができたり血管が傷つけられたりするのを防ぐ作用もあります。このように高い効果のあるタマネギですが、薬効成分の中には、加熱するとこわれやすいものもありますので、生のまま酢に漬けて作る酢タマネギは、タマネギの薬効を取り入れるのにひじょうにすぐれているのです。

一方、酢には体を温める作用や瘀血(血液のとどこおり) をなくし、血液循環をよくする働きとともに疲労を回復させる働きがあります。

また、血中のコレステロール62中性脂肪をへらしたり、血糖値をコントロールする働きも認められています。

コレステロールを下げる食品(たまねぎ)

タマネギと酢を組み合わせると、相乗作用によってストレスからくる不眠などにとても高い効果を発揮します。不眠のためには、酢タマネギは1日にタマネギ3分の1個(60g)分は食べるようにしましょう。

また、酢タマネギを食べるだけでなく、タマネギを漬け込んだ酢も料理に利用したり、お湯などで薄めて飲んだりするといいでしょう。

酢には硫化アリルの薬効が大量に含まれていますので、血流改善や疲労回復効果がさらに高まります。ただし、酢は体に水分をためる働きがあると考えられていますので、体の水分代謝が悪い人は、高い利尿効果(尿の出をよくする働き)のあるタマネギの芯の部分を利用したり、タマネギの皮を洗って陰干しにしたものを煎じて飲むといいでしょう。また、タマネギをスライスしたものを枕もとに置いておくと、自然な眠けに誘われて安眠できると古くからいわれていますが、これもタマネギのにおい成分のもたらす鎮静効果と考えられています。

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