2種類の不眠症
不眠症は、その現れ方(現象型) や不眠症の持続時間によって大きく2つに分類でき、さらに細かく分類されます。現象型では、ふつう次の3つのタイプがあります。
- 入眠障害(寝付きが悪い)寝つくまでの時間には個人差があり、すぐに寝入ってしまう人もいれば、20~30分かかる人もいます。ふだんから寝つきの悪い人でも健康な生活を送っていれは、とくに問題はありません。数値で入眠障害を規定するのは難しいのですが、一般に入眠するまでに30~60分時間以上かかる場合を入眠障害としています。
- 睡眠維持障害(中途覚醒、熟眠障害)夜中に2回以上目が覚めて、そのあとなかなか眠れないような状態を中途覚醒といい、睡眠持続が障害されます。これは高齢者によくみられます。熟眠障害は、眠りが浅く、起きたときに熟睡した感じがしないものをいいます。
- 早朝覚醒いつも自分が起きる時刻より2時間以上早く目が覚めてしまって、その後眠れない場合を指します。ただし、早く寝れば早く目も覚めるということがあります。
持続時間による分類
不眠の状態がどれくらい持続するかによって以下のようなタイプに分けられます。
- 一過性不眠ふだんは正常な睡眠を得ていても、旅行に出かけたときや試験前夜、勤務時間の変更など、何か特別な出来事が生じたときに起こる数日間の不眠を指します。とくに治療を必要とはしません。
- 短期不眠1~3週間続く不眠で、ストレスが長く続いたとき、仕事や家庭でのトラブル、重い身体疾患(病気)にかかったときなどに起こります。
- 長期不眠1ヶ月以上にわたって不眠が続く本格的な不眠で、その原因はさまざまですが、いずれにせよ治療が必要です。
人間は、昔から太陽が上っている明るい昼間の間は活動し、日が沈んで暗くなると、眠って休息するという生活を長い間くり返してきました。しかし、高度に発展した現代社会では、このような人間の自然な生活リズムに変化をもたらし、それと同時にストレスを増加させ、不眠に悩む人が急増しているのが実情です。いまや、日本人の5人に1人は不眠症だといわれています。
以上のように、不眠症にはさまざまなタイプがありますが、その原因もさまざまです。わかりやすくいうと、不眠をもたらす原因によって、ストレスなど精神的な原因がいにちによる不眠、ライフスタイルが原因の不眠、概日リズムにかかわる不眠、病気が原因の不眠などに分類できます。