眠りを深くして脳の発達を促すミルクバワー
乳児はミルク(母乳・牛乳) だけで育ちます。赤ちゃんにとってミルクはなくてはならない栄養源であるばかりでなく、赤ちゃんが健やかに成長するための生体の働きを調整する機能性物質が豊富に含まれた完全食品です。
ミルクに含まれる機能性物質は、顕在因子と潜在因子の2種類に大別することができます。顕在因子とは、はっきりと形にあらわれて存在している機能性物質です。
滞在因子とは、ミルクに含まれるたんばく質の消化過程で生じ、調節機能を持つペプチドのことです。顕在因子としての機能性物質では、体を若返らせる作用を持つガングリオシドがあります。この物質は、糖と脂肪が結合した糖脂質の一種で、脳を発達させ、記憶を形成させます。
母乳に含まれるガングリオシドの種類は、産後の日数を追って規則的に変化します。この種類の変化が、記憶の形成や脳の発達に大きく関係していることがわかっています。この変化はまた、母親のお産の経験や母親の年齢などに関係なくみられます。
ミルクから作られるモルヒネに似た物質
ミルクに含まれる機能性物質のうち、脳の機能に関係する潜在因子としては、モルヒネ様ペプチドがあります。たとえば、赤ちゃんがすやすやと眠ったり、寝入ったあとに多少の物音に目を覚まさなかったりするのは、このモルヒネ様ペプチドが脳に有効に作用しているからと考えられます。
そのため、大人でもミルクを飲むと鎮静効果を得られてぐっすりと眠れるのだと考えられています。ミルクには、これらの多くの生体を調節する機能性物質のほかにも、脳をはじめとⅠして体の構成に必要なたんばく質、ミネラル、ビタミンが多量に含まれています。
ミネラルとしては、カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウムが含まれ、ビタミンとしてビタミンA 、B1、B2、C が含まれています。ビタミンB群やカルシウムは神経のたかぶりを抑制する働きがあり、深い眠りをもたらします。
そのほか、ミルクにはアミノ酸の一種であるトリプトファンが含まれています。
これは、眠りの質を高める成分です。トリプトファンは、眠りをコントロールするといわれているセロトニンを生成するのに欠かせない成分です。また、空腹で眠れないときにミルクを飲むと、胃に負担をかけないのでスムーズに眠りにつくことができます。