ビタミンB12の不足が不眠の原因になる
現代社会では「眠れない」と訴える不眠症の人が激増しています。不眠症には大別すると分裂病やうつ病、ノイローゼからくる心因性の不眠とストレスが原因で起こる神経性の不眠とがあります。
最近はとくに後者の不眠がふえる傾向にあり、神経質でささいなことを気にする人がかかりやすいといえます。眠れるかどうかばかりを心配して、なんとか眠ろうとする努力がかえって脳を覚醒させ、ますます眠れなくなってしまうのです。
この神経性不眠の改善にたいへん有効なのが、ビタミンB12です。『神経ビタミン』の別名を持つビタミンB12 は、ストレス性の病気にとても効果があり、専門医も不眠症の治療に用いている微量栄養素です。ビタミンB12を含む食品には納豆や豆腐、アサリ、イワシ、牛乳、レバー、イカなどに豊富に含まれています。
初心者にもわかりやすいビタミン、ミネラル(水溶性ビタミン)ビタミンB12
ビタミンB12がなぜ神経性不眠に効果があるのでしょうか。神経性不眠は、自律神経失調症のひとつです。自律神経のエネルギー源は糖質ですが、食べ物から得た糖質をエネルギーに変換するためには、ビタミンB12が欠かせないのです。
ビタミンB12が不足すると、自律神経のバランスが狂ってしまいます。逆にいえば、アサリや納豆などの食品をたくさん食べて、ビタミンB12を補給すれば自律神経のハランスが正常に戻り、快眠が得られるようになるというわけです。
人間は本来、昼に活動して夜には眠るという生活リズムに合わせた体内リズムを持っていますが、日常生活の時間帯がずれてくると、体内リズムと活動の差が大きくなり、体内時計が狂ってしまいます。すると、ふつうの人が起きる時間に起きられず、眠る時間に眠れなくなってしまうのです。このような睡眠・覚醒リズム障害がとくに最近ふえ続けています。
実際、寝る時間と眠りの深さには密接な関係があります。人間の眠りには、体が休まる浅い眠り(レム睡眠) と脳が休まる深い眠り(ノンレム睡眠) がありますが、12時前に寝ると、すんなりとノンレム睡眠に入ることができます。
一方、睡眠・覚醒リズム障害の人のように、12時を大幅に過ぎた深夜や明け方にしか寝られない人の場合は、常に浅い眠りしか得ることができず、質の悪い睡眠しかとれません。
こうした睡眠・覚醒リズム障害の症状にも、ビタミンB12が効果を発揮します。最近の研究で、ビタミンB12は人間の睡眠と覚醒のリズムを調節する働きがあることがわかってきました。
ところで、睡眠・覚醒リズム障害の人たちは、ほとんどが朝食抜きです。これでははっきり目が覚めないし、体内時計の調整がうまくいかないのも当然でしょう。なぜなら、朝、脳を覚醒させるいちばんの方法は体を温めることであり、そのためには朝食をきちんととることが最適だからです。そこでおすすめなのが、ビタミンB12がたっぶりの納豆やアサリを使った献立です。
納豆ごはんにアサリのみそ汁、イワシの丸干しなどは、日本人が昔から好んで食べてきた朝食の献立です。したがって、昔ながらの朝食を毎日しっかりと食べていれば、自然にビタミンB12をじゅうぶん摂取することができて、神経性の不眠も睡眠・覚醒リズム障害による不眠も改善されてくるというわけです。
朝からビタミンB12を多く含む食品を食べておくことで、体内時計のリズムがより整いやすくなり、夜すみやかに睡眠に入れるようになるからです。
不眠症ぎみで困っている方は、朝食にぜひ納豆ごはんとアサリのみそ汁など、ビタミンB12の多い献立を取り入れて、不眠症を改善し、快い眠りから得られる健康的な生活を送ってください。