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温熱療法

血中の睡眠物質をふやす

不眠の人の肝臓の上を温めるとたまらなく眠くなり、深い熟睡感をいち早く得られることがわかりました。私は、昭和30年ごろから30年近く、慢性病の治療に泥土を応用する研究を続けてきました。これは、治療する体の各部分(関節、腰、肩、腹部) などに温めた泥土を当てるものです。ほどよく練った泥土を厚さ数cmにして蒸気で60~70度の熱さに加温します。そして、泥土全体の温度が一定になるように、もう一度よく練り直して、表面温度が40~50度、中心部が58~60度になるように扇風機で表面を冷やします。

すると、患者さんのほとんどが、温めた泥土を当てただけでたちまち眠りに入ったのです。いびきをかいて眠るというのは、睡眠の中でいちばん深い眠り。レム睡眠 に入っているということです。
この深い眠りは、ふつうの睡眠なら入眠後30~40分後に現れますが、泥土療法を行った患者さんは、治療開始後わずか10分ぐらいでこの深い眠りに入りました。
そこで、肝臓に行った温熱刺激が作用したものであろうと推測し、研究をはじめました。人間が眠くなるのは、血液中のトリプトファン(たんばく質を構成するアミノ酸の一種) がふえるためといわれています。
そこで、トリプトファンの量を調べてみました。すると、治療を開始したあとではトリプトファンが増加していたのです。これで肝臓を温めるとことで眠くなる理由が証明できました。

皮膚の上から直接温める

家庭で簡単に泥土療法と同じような効果を得られる方法をご紹介しましょう。薬局などで市販されているホットパックや化学保温剤を、水を入れた鍋に入れ、30分ほど火にかけます。はしなどでつかんで鍋から取り出し、タオルでくるみます。あお向けに寝て体の右側の肋骨の下に、やけどしないようにタオルでくるんだままのホットパックを皮膚にじかに当てるようにします。
15~20分ぐらいで眠くなってきますので、眠けが襲ってきたらすぐさまホットパックを取り出して、皮膚の水気をよくふき取ってから寝るようにしましょう。
また、ひどい不眠症の人は、肝臓への温熱療法とともに、夜寝る前の足浴を組み合わせるとさらに効果的です。
足浴は、バケツの中に40度ぐらいのお湯を入れ、両足のふくらはぎの中ほどぐらいまでを5分間以上浸します。そのあとは両足の水気をじゅうぶんにふき取って、乾いたバスタオルで両足を包んでそのまま寝床に入ります。