ラベンダー、カモミールのアロマですっきり目覚める

アロマを活用して「よい睡眠」とリラックス効果を

アロマセラピーとこころの病について世界で初めて発表した先駆者は、イタリアの精神科医、パオロ・ロペスティです。彼は、ミラノの植物誘導体研究所所長をしていたのですが、オレンジ、ベルガモットなどの柑橘系の精油が、うつ病や不安障害に対して用いると有効であると発見しました。

このようにアロマセラピーと精神医学は、まったく関係がないというわけではありません。睡眠を深めるアロマとしては、ラベンダーがもっとも有名です。国際文献を探しても、ラベンダーによって睡眠の質が改善した、不眠症の治療に有効だったという報告は少なくありません。

ただし、深睡眠がどの程度増加したかなど、脳波を用いて精密に定量的に研究した報告は、ほとんどありません。ほかにもサンダルウッドやカモミール・ローマン、ネロリなどが睡眠をよくする効果があるといわれています。

ラベンダーでは酢酸リナリルが、サンダルウッドではサンタロールという成分が、それぞれ睡眠に効果的な成分と考えられています。

個人によって好みも違うと思いますので、自分がいちばんリラックスできると感じるお気に入りのアロマを使うのもいい方法です。

ラベンダーなどの睡眠にいいアロマとは対照的に、冒頭で紹介したオレンジやベルガモット、レモンなどの柑橘系、イランイランなどは、精神的な緊張を和らげストレスを緩和するとともに、集中力を高める作用もあるといわれています。

レモンは、脳活動をスローダウンさせるGABAという物質のレセプターの作用を弱めてしまい、睡眠に好ましくないという研究もあります。ということは、こうした柑橘系やイランイランなどのアロマを、朝スッキリ目覚めたいときに使うのも、いいエ夫だと思います。

日中の覚醒度合いが高いはど、メリハリがついて夜の睡眠がよくなりますから、昼間と夜のメリハリをつける意味でも、アロマの上手な使い分けは効果的かもしれません。

副作用には十分注意する

大学病院や一般病院の臨床ではアロマセラピーを用いる機会があまりないのですが、民間のメンタルクリニックではリラクセーションでアロマセラピーを導入しているところがあります。老人保健施設などお年寄りの施設では、アロマセラピーが利用者の不安や苛立ちを和らげるのに効果があったという報告がいくつかあります。

こうしたことからも、睡眠の質をもう少しよくしたい、リラックスして眠りにスムーズに入りたい、朝の目覚めをスッキリきせたい、などと思っているかたは、アロマを試みる価値があると思います。この項の最後に、アロマセラピーを実際に行ううえで重要な注意点をお伝えしておきます。先に挙げたようないくつかのアロマには、副作用があります。オレンジ、べルガモット、レモンなどの柑橘系のアロマは、「光感作」という副作用があり、日光を浴びると皮膚に発疹が生じてしまうアレルギー反応があらわれることがあります。
また、妊娠中のかたは使用に注意しなければならないアロマが多いので、十分に調べてから慎重に使用したはうがいいでしょう。

眠れない | アロマテラピーの効能・効果