タオル枕

背骨のゆがみを取って熟睡をもたらす

睡眠によって私たちは1日の疲れを取り、明日の英気を養います。睡眠なくして健康はありません。良質な睡眠のためにはよい睡眠環境も必要です。
そこで、安眠へ導いてくれる、タオル2枚で簡単に作れる「タオル枕」をご紹介しましょう。枕は、単に頭や首をのせるためだけの道具ではかりません。実は、背骨に大きな影響を及ぼし、私たちの健康に大きくかかわっているのです。まちがった枕を使って毎晩眠っていると、背骨のゆがみや頭痛、肩こり、腰痛といったさまざまな不快症状をもたらすのです。

背骨は小さな椎骨という骨が連なってできていて、その連なりは部位によってそれぞれ名前がつけられています。首には7個の頸椎、背骨には12個の胸椎、腰には5個の腰椎があります。そして、腰椎の下には仙骨という骨があります。

背骨は前方から見ると1本の棒のように見えるかもしれませんが、側面から見ると、S字状のカープを描いています。いちばん上にある頸椎は、前方に湾曲し、真ん中の胸椎は、後方にふくらむように湾曲し、腰椎は頸椎と同じく前方に湾曲しています。しかし、理想的なバランスを保った背骨をしている人はまれで、本来はきれいな形をしている背骨も、その人の姿勢や日常生活、仕事の内容、運動不足などによって、ほとんどの人にゆがみが生じているといえます。こうした背骨のゆがみが、肩こりや腰痛、ひざの痛みなどの不快症状を生み、さらに背骨から出ている神経および背骨の周囲の血管に悪影響を及ぼして内臓の働きを衰えさせ、さまざまな不快症状となって現れるのです。

しかし、私たちの体にはもともとそのゆがみを正し、背骨のバランスを整えようとする力が働いています。ただ単に、あお向けに寝るだけでも筋肉がゆるんで背骨の緊張を軽減させ、自然にバランスの乱れを整えようとします。

ただし、長年の習慣で筋肉がかたくなっているとなかなかゆるみません。そこでを発揮してくれるのがタオル枕です。

首を矯正すれば背骨全体が改善する

背骨の周囲の筋肉は、後頭部から腰の下端、つまり仙骨まで連携しています。そうした筋肉の緊張をゆるめるためには、背骨の出発点である後頭部から首にかけての筋肉の緊張をゆるめれば、一気にそれに続く筋肉もゆるみます。

いわば、てこの原理のように、小さな刺激でも大きな力となって現れてくるわけです。その際にポイントとなるのが頚椎です。体の最大のウイークポイントである頚椎をタオル枕で正しく支えることで、その周囲の筋肉が自然にゆるみ、背骨全体の筋肉もゆるむことになります。
そうすると、背骨が本来の正しい形に戻っていくのです。タオル枕のすぐれている点は、自分の体の重みを利用して筋肉をゆるめたり、背骨のゆがみを矯正したりできるので、ほとんど力を使わないことです。力の弱いお年寄りや女性でも手軽にできます。毎日寝るときにタオル枕を使うだけで無理なく続けることができます。タオル枕の作り方は次のとおりです。

まず、浴用タオル( 30cm×90cmぐらい) とバスタオル( 50cm×110cmくらい)をそれぞれ1枚用意します。上質の厚いタオルをわざわざ用意する必要はなく、ある程度の厚みがあり、弾力性にすぐれたものであればかまいません。ただし、体にぴったりと気持ちよく当てられることが大切なので、使い古しのベラベラのタオルや日本てぬぐいは不適当といえます。

このタオル2枚以下のように折りたたんで枕を作ります。

タオル枕作り方

タオル枕作り方

これでタオル枕の完成です。なお、この基本のタオル枕だとロール部分が高く感じられて圧迫感がある人は、手順の5と6のバスタオルの長いほうの辺を4等分して4分の3まで折ってください。低すぎる場合はバスタオルの長いほうの辺を1回折ります。
あとは同様にロール状のタオルにのせて使います。

使い方は、まず、あお向けに寝て乳様突起(耳たぶのすぐ後ろにある骨の出っ張り) の下端の部分がロール状にした枕の左右の部分に当たるようにします。
うまく枕が当たると、頭がしっかりと収まり、なんともいえない安定感を感じます。そのまま後頭部はバスタオルの折った3分の2の部分にのせます。頭の位置が定まったら、両手を体の両側に自然に置きます。そして、鼻からゆっくりと息を吸い込みながら背すじを伸ばして胸を大きくふくらませます。吸い込めるだけ空気を吸い込んだら、次にバッと空気を吐き出します。この深呼吸を数回くり返すうちに、全身がリラックスしてきてさらに頭がスッポリと枕に収まり、頭の位置がしっかりと安定します。

その状態のまま気持ちをらくにして眠りにつきます。途中で寝返りを打って枕が頭からはずれてもかまいません。1日5分以上、首に枕が当たっていればじゅうぶん効果があります。タオル枕は長時間行う必要はなく、5分以上であれば日中に行ってもかまいませんし、タオル枕をしたあとはそのまま眠ってもよいでしょう。また、使い慣れた枕に替えて寝てもけっこうです。家庭療法としてすぐれたタオル枕を利用して、良質な睡眠にお役立てください。

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