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その他の睡眠障害

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中にたびたび呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群には、「閉塞型」「中枢型」「混合型」3つのタイプがあります。呼吸をするときの空気の通り道(気道)の上部(鼻孔、口、咽頭、喉頭など) を上気道といいますが、この上気道が睡眠時にふさがってしまうのが「閉塞型」で、睡眠中に脳幹部にある呼吸中枢に障害が生じて呼吸命令が起きないのが「中枢型」といいます。

さらに、両者が混じった「混合型」がありますが、無呼吸症候群の大多数は閉塞いくびかがく型か混合型です。閉塞型は、肥満した人や首が短い( いわゆる猪首の)人、下顎が小さい人、扁桃腺肥大など上気道が狭くなりやすい人に多く、また、とくに高齢者に多いのが特徴です。

睡眠中は、全身の筋の緊張が低下するとともに上気道を囲む筋の緊張も低下します。あお向けの状態で寝ていると、舌根や軟口蓋がのどの奥のほうに沈み込んで、ふつうの人でも上気通が狭くなります。

閉塞型の人は、太りすぎなどの原因で上気通が狭くなっているうえに、睡眠中の筋の緊張低下が重なって、上気道が完全にふさがれて10~90秒の間窒息状態となります。再び呼吸を再開するときに激しいいびきをかくのが特徴で、この「呼吸停止→再開→停止」を一晩中くり返します。このような状態を「周期性呼吸」 といいます。睡眠時無呼吸症候群の人は、不規則でに、昼間眠くて仕方ありません。ただし、本人は夜間の睡眠障害に気づいていない自覚していないことが多いのです。

この睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、高血圧、心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)、脳梗塞などの原因にもなるので注意が必要です。

いびき

いびきは、空気が上気道を通過するときに気道周囲の組織が振動して生じる摩擦音で、気道が狭く、空気の抵抗が大きいほどいびきも大きくなります。
とくに、睡眠中にあお向けに寝ると、舌根や軟口蓋が弛緩して後方に沈下するために上気通が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
高齢者の場合は、筋緊張の低下にともなっていびきをかくケースが多くみられます。いびきは生理的現象ではありますが、急にいびきの音が大きくなったとか、音が変化したなど、ひどいいびきをかくようになった場合は、睡眠時無呼吸症候群や何らかの病気が疑われるので注意が必要です。

はぎしり

眠っている最中に、咬筋のリズミカルな運動によって上下の歯が強くこすり合わさぎわれて、ギーギーという耳障りな音が発生します。これが、いわゆる歯ぎしりと呼ばれるものです。本人は、自分が音を立てていることに気づかず、それで目が覚めることはぐきもありませんが、あまりに激しい歯ぎしりが頻繁に起こるようだと、歯や歯茎に悪影響を与えることもあります。

ナルコレプシー

前夜よく眠っているのに、昼間に強烈な眠けに襲われるもので、別名「居眠り病」とも呼ばれています。仕事中や授業中など、眠ってはいけないときにもかかわらず、人前でも眠ってしまいます。
ナルコレプシーの原因はまだ解明されてはおらず、しばしば周囲から怠け者という誤解を受けてしまいがちです。ふつう睡眠はノンレム睡眠から入りますが、ナルコレプシーは入眠時にレム睡眠が現れやすく、夢が幻覚となってうなされたり、悲鳴を上げたりすることもあります。

不眠の原因

精神的ストレスによる不眠

過度のストレスを抱えていたり不安にさいなまれたりしていると、血圧が上がって心臓がドキドキしたりしますが、これは交感神経が優位になっているからです。ストレスは、生体にとって心身に大きな影響を及ぼすいわば外敵にあたり、生体は敵に対して防御体制をとるため、活動に適した交感神経を優位にします。

しかし、この状態ではなかなか眠りにつくことはできません。眠りが浅い、夜中に2目が覚めるなど、不眠症の多くはストレスが原因によるものといえるでしょう。
これを「精神生理性不眠症」といい、一過性のものと持続性のものとがあります。

持続性の精神生理性不眠症は、別名「神経質性不眠症」とも呼ばれています。これは、神経質な人に慢性の精神緊張や不安が加わって起こります。
精神緊張や不安は、本人がはっきりとは自覚しない場合が多く、むしろ身体的緊張、すなわち筋肉の緊張の高まり、落ち着きのなさなどとして現れ、不眠を起こします。

患者の多くは、こういった不眠の原因に気づいておらず、体質のせいだと考えています。また、自分の寝室に行くと、今夜も眠れないのではないかと心配するので、夜、寝室、枕などと「不眠」が条件反射的に結びついてしまうことも原因の1一つです。一般的に不眠症といわれるものの大部分が精神生理性不眠症です。

一過性の場合は、一時的なストレスや不安や緊張による感情の興奮などによって引き起こされますが、原因となる出来事がはっきりしており、それを取り除いたりその状況になれたりすれば、不眠の問題もほぼ解決します。しかし、不眠が1ヶ月以上も続く場合は、持続性精神生理性不眠症といって改善がなかなか」困難となってきます。

概日リズムの乱れが不眠を招く

概日リズムに関連した主な睡眠障害には、時差症候群、睡眠相後退症候群、非24時間睡眠覚醒症候群などがあります。

時差症候群(時間帯域変化症候群)

睡眠・覚醒の時刻を急に変更すると、身体の概日リズムと社会生活時間の間にズレが生じ、睡眠が障害されます。これが、いわゆる時差ボケです。
たとえば、時差が6時間ある外国に出かけた場合、現地時間では真夜中であっても、体内時計はまだ午後6時なので、眠ろうとしてもなかなか寝つけず、睡眠も浅くなります。身体リズムは昼間に相当する時期なので体温が高く、そのためなかなか眠りにつくことができないのです。
反対に、身体リズムが低い夜の時期に渡航先の時刻が昼間に当たるときは、眠くてたまらず、頭がボーッとしたりします。概日リズムが新しいリズムに変わるには、数日から1週間ぐらいかかりますが、一般に若い人は高齢者よりも早く時差に適応できます。

睡眠相後退症候群

極端な夜更かし・朝寝坊が続いて正常に戻すことができないものをいいます。「朝起きられないのは、夜更かしするからだ。早く寝れば問題は解決する」というわけにはいきません。これは、睡眠が起こりやすい体温が低くなる時間帯が一般の人とずれてしまっているために、いくら早く寝ようとしても眠れず、それにともなって朝も起きられなくなることによるもので、一種の生体リズム調整の障害なのです。
寝るのが遅くても入眠でき、睡眠の深さや持続にあまり異常はみられませんが、朝起きられないので社会生活に支障をきたします。

非24時間睡眠覚醒症候群

1日は24時間ですが、概日リズムはそれよりも約1時間ほど長い25時間前後です。この1時間のずれは、朝の目覚めによって毎日リセットされており、人間には概日リズムを外的生活リズムに同調させる働きが備わっています。
ところが、非24時間睡眠覚醒症候群は、この働きが失われているので生体リズムは25時間の周期で進行していき、睡眠・覚醒リズムも25時間で回転します。そのため、生体リズムと社会生活の時間帯が1〜日に1一時間ずつ遅れていき、やがて昼間に生体リズムの活動が低い(体温が低い) 時期が来ると、昼間起きていようと思っても眠くてたまらず、逆に夜には寝ようと思っても眠れなくなるのです。

ライフスタイルの乱れによる不眠

質のよい睡眠を得るための日常生活上の心がまえを「睡眠衛生」といいますが、睡眠は、ライフスタイルにも大きく左右されます。
騒音や室内の照明の度合い、温度や湿度などによってなかなか寝つけなかったり、眠りが浅かったり、中途覚醒したりするなど、睡眠はそれを取り巻く環境によって、大きく影響されます。
また、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインには、覚醒作用があります。さらに、適度なアルコールは精神的な緊張をほぐして入眠を促進させますが、大量に摂取するとレム睡眠を減少させて睡眠の質を低下させることになります。
また、短時間の昼寝は有効ですが、夕方になってから昼寝をすると睡眠促進物質が分解してしまうので、寝つきが悪くなる原因ともなります。このように、不規則な睡眠習慣を続けていると、体内時計に狂いが生じて夜眠れなくなったり、朝起きられなくなったりということが起こるのです。

病気が原因の不眠

神経症は一般にノイローゼとも呼ばれ、職場や家庭内の精神的な原因で極度の不安や精神緊張が起こる状態で、不眠も起こりやすくなります。
躁うつ病のうつ状態のときやうつ病は、眠りが浅くて中途覚醒が多く、早く目が覚めて朝まで寝床のなかで悶々と考え込んで、絶望的な気持ちに陥ってしまうというのが特徴です。

一方、躁状態で興奮が強いときは一晩じゅう眠らないことも少なくなく、朝早く目覚めて活動をはじめることもしばしばです。精神分裂病は思考や感情、人格などに障害が生じるもので、ふつう思春期から青年期に多く発病します。被害妄想や幻聴(何の刺激もないのに何かが聞こえるように感じること)などが現れ、生活も不規則になって夜も眠れなくなります。

れら精神疾患のほかに、脳出血、脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)、パーキンソン病、老年痴呆など脳に障害が生じる疾患も不眠と深く関係しています。また、睡眠中に呼吸」困難を起こす閉塞性肺疾患やぜんそく、リウマチやアレルギーなど痛みやかゆみをともなう柄気も眠りを妨げ、不眠を起こします。
さらに病気の治療に使われる薬剤、たとえばぜんそくの治療薬やステロイド剤、降こうじようせん圧剤、甲状腺製剤などの服用で、不眠を招くことがあります。

条件づけで左右される睡眠

たいていの人は毎日同じ場所(寝室)へ行き、同じベッドで、同じ枕をして眠りにつきます。これは、いわば眠るための条件づけになり、このような行動が条件反射的に睡眠を誘発します。ところが、たまたま何かが原因で眠れなかったときは、それが不眠と条件反射的に結びついてしまうことがあります。

たとえば、自分の寝室に行くと「また今夜も眠れないかもしれない」などと思ってしまいます。自宅の寝室で寝るより旅先のほうがよく眠れるという人がいますが、これは寝室などの外部環境が条件反射的に不眠と結びついているからです。

不眠症と睡眠障害

2種類の不眠症

不眠症は、その現れ方(現象型) や不眠症の持続時間によって大きく2つに分類でき、さらに細かく分類されます。現象型では、ふつう次の3つのタイプがあります。

  1. 入眠障害(寝付きが悪い)
    寝つくまでの時間には個人差があり、すぐに寝入ってしまう人もいれば、20~30分かかる人もいます。ふだんから寝つきの悪い人でも健康な生活を送っていれは、とくに問題はありません。数値で入眠障害を規定するのは難しいのですが、一般に入眠するまでに30~60分時間以上かかる場合を入眠障害としています。
  2. 睡眠維持障害(中途覚醒、熟眠障害)
    夜中に2回以上目が覚めて、そのあとなかなか眠れないような状態を中途覚醒といい、睡眠持続が障害されます。これは高齢者によくみられます。熟眠障害は、眠りが浅く、起きたときに熟睡した感じがしないものをいいます。
  3. 早朝覚醒
    いつも自分が起きる時刻より2時間以上早く目が覚めてしまって、その後眠れない場合を指します。ただし、早く寝れば早く目も覚めるということがあります。

持続時間による分類

不眠の状態がどれくらい持続するかによって以下のようなタイプに分けられます。

  1. 一過性不眠
    ふだんは正常な睡眠を得ていても、旅行に出かけたときや試験前夜、勤務時間の変更など、何か特別な出来事が生じたときに起こる数日間の不眠を指します。とくに治療を必要とはしません。
  2. 短期不眠
    1~3週間続く不眠で、ストレスが長く続いたとき、仕事や家庭でのトラブル、重い身体疾患(病気)にかかったときなどに起こります。
  3. 長期不眠
    1ヶ月以上にわたって不眠が続く本格的な不眠で、その原因はさまざまですが、いずれにせよ治療が必要です。

人間は、昔から太陽が上っている明るい昼間の間は活動し、日が沈んで暗くなると、眠って休息するという生活を長い間くり返してきました。しかし、高度に発展した現代社会では、このような人間の自然な生活リズムに変化をもたらし、それと同時にストレスを増加させ、不眠に悩む人が急増しているのが実情です。いまや、日本人の5人に1人は不眠症だといわれています。

以上のように、不眠症にはさまざまなタイプがありますが、その原因もさまざまです。わかりやすくいうと、不眠をもたらす原因によって、ストレスなど精神的な原因がいにちによる不眠、ライフスタイルが原因の不眠、概日リズムにかかわる不眠、病気が原因の不眠などに分類できます。

人の健康には絶対欠かせない「睡眠」

睡眠の役割

眠りは、人間や動物に本来備わっている本能的な生理機能です。ずっと起きていようと思っても、結局最後には睡魔に襲われて眠り込んでしまいます。意志の力では完全にコントロールすることはできないのです。

また、よく眠れなかった翌日は1日じゅう疲れが取れず、頭がボーッとしていますが、逆に、ぐっすり眠った翌日は目覚めもさわやかで、心身の疲労が回復するのは、だれでも体験的に知っていることでしょう。

人は人生の約3分の1を睡眠に費やしますが、睡眠は人間が生きていくうえで必要不可欠なものであり、さまざまな役割を担っています。睡眠の役割は主に次のようなものがあげられます。

脳と身体の疲労を回復する

睡眠には、脳や肉体疲労を回復するリフレッシュ効果があります。筋肉疲労など体の疲れは、眠らなくても安静にしていれば回復しますが、脳の疲労は眠らなければ回復できません。脳は体内のあらゆる器官を総合的にコントロールしており、膨大な情報を処理しているため、働き続けるとオーバーヒートしてしまうのです。それを防ぐために、脳は脳自体を休息させ、自ら睡眠を作り出します。

身体活動のリズムを調節する

  • ホルモン分泌リズムの調節
    睡眠は、ホルモン分泌と密接な関係があります。ホルモンの分泌は、睡眠に依存しているものと、概日リズムに依存しているものの2種類があります。コルチゾール(副腎皮質ホルモン) は、眠る眠らないにかかわらず、午前8時ごろに分泌のピークを迎えます。
    一方、睡眠中に分泌が増加するホルモンのなかで、代表的なものが成長ホルモンです。
    脳下垂体から分泌されるこの成長ホルモンは、子どもの発育には欠かせないホルモンで、まさに「寝る子は育つ」 というわけです。
    また、成長ホルモンは大人にとっても大たいしや切なホルモンで、新陳代謝に深く関係しています。一般的に睡眠不足は美容の大敵とされ、肌荒れをもたらすといいますが、熟睡しないと成長ホルモンがじゅうぶんに分泌されないので代謝(新旧の物質の入れ替わり現象) が悪くなり、肌にも悪影響が及ぶというわけです。
    さらに、成長ホルモンは糖や脂肪、たんばく質などの代謝を調整し、身体活動に必どうか要な物質を合成して蓄える作用(同化作用) があるので、眠っている間の疲労回復にも役立ちます。
    このほかにも、眠っている間には、プロラクチンや黄体形成ホルモンなどさまざまなホルモンが分泌されているのです。睡眠は、ホルモン分泌の調節を介して生体のリズムを調節しているのです。
  • 自律神経機能の調節
    自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、たがいに相反する働きをしています。昼間、体温が高く活動に適した状態では交感神経が優位になり、心臓の拍動なども高まりますが、睡眠中は、心拍や呼吸などの自律神経系の機能は副交感神経優位の方向へと変わります。

体温を低下させて脳の過熱を防ぐ

睡眠中は、起きているときよりも体温が0.1~0.3度下降します。体温が下がると血液の温度も下がり、それによって脳のオーバーヒートが防げるのではないかといわれています。
また、体温が下がると眠りに入りやすくなります。一般的に、おふろに入ったあとはよく眠れますが、これは、入浴によって上昇した体温が下がっていくときに、睡眠が誘発されるものと考えられています。

免疫機能を高める

風邪などをひいて熱が出ると、うとうととして眠くなることがよくあります。これは、細菌やウィルスに感染して発熱したときには、眠ることによって体を休養させ、免疫機能を高めて細菌やウィルスと戦うためだと考えられています。

睡眠のメカニズム

長時間眠らないでいると自然に眠けが起こってきますが、これは目覚めていると体内に「睡眠物質(睡眠促進物質)」が蓄積してくるからです。
この物質は、眠ると分解されてなくなります。1~2時間でも眠れば眠けが取れるのはそのためです。睡眠物質は、時間に比例してたまっていきます。一時的に仮眠するとその時点で睡眠物質は分解され、目覚めてからまた蓄積されていきます。したがって、夕方に昼寝をすると睡眠物質が不足して寝つきが悪くなるので、昼寝をするのであれば正午ごろに短時間だけ行うとよいでしょう。
人間は体内に生体時計(体内時計) を持っており、昼夜のリズムに合わせて活動と休息のリズムを作っています。この体内時計にしたがって、体温や血圧、心拍などの自律神経機能やホルモン分泌などが、1日1回のリズムで自動的に変化することを概日リズム( サーカディアンリズム) といいます。とくに、体温の概日リズムは睡眠に深く影響しています。
ふつう、人間の体温は午後3~5時ごろがもっとも高く、その後徐々に下がって午前3~5時ごろにもっとも低くなります。
これは、眠っても眠らなくても同じように変化します。たとえば、徹夜をしていていちばん眠くなるのは午前3時ごろですが、だんだん夜が明けてくると体温が上昇して、眠らないのに眠けは薄らいでいきます。ほかの生体機能も、睡眠に関係なく体温と同じような曲線を描いて変動します。毎日、決まった時間に就寝・起床をくり返していると、生体リズムの振幅が大きくなります。振幅が大きいと昼間の活動レベルは高くなり、夜の活動レベルは低くなってよりよい睡眠を得ることができます。

「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」

睡眠の状態や深さは、脳波を調べることによってわかります。脳波は、脳の活動にともなって発生するごく微弱な電気活動で、睡眠の深さに応じて特徴のある波形(パターン) を示します。「浅眠期」(第一段階)、すやすやと眠りにつくその深さは、うとうとして眠りに入る「浅眠期」けいみん「軽眠期」(第二段階)、ぐうぐうと本格的に眠る「中等睡眠期」(第三段階)ぐっすりと深い眠りに入る「深睡眠期」(第四段階) に分かれます。
この第三、第四段階を合わせて「徐波睡眠期」といいます。ところが、浅眠期と同じような脳波のパターンを示しながら、一般の睡眠とは性質の異なるものがあることが判明しました。
この睡眠は急速な眼球活動をともなうのが大きな特徴で、レム睡眠と名づけられました。レム睡眠にはそのほか、次のような特徴があります。

  • 浅眠期と同じような脳波のパターンを示す
  • 体の姿勢を保つ筋肉や重力に抵抗する筋肉の緊張がほとんどなくなる
  • 感覚的な刺激を与えても目覚めにくい
  • レム睡眠時に起こすと約80% の人が夢を見ている
  • テキスト
  • 心拍や呼吸、体温などの自律神経機能が不規則に変化し、男性では勃起が起こる

一方、レム睡眠以外のふつうの睡眠はノンレム睡眠と呼ばれるようになり、睡眠には2種類あるということがわかりました。極端な表現をすれば、ノンレム睡眠は「脳の眠り」、レム睡眠は「身体の眠り」の状態であるといえるでしょう。

ノンレム睡眠+レム睡眠で睡眠の1単位

通常、人間の眠りはごく浅い第一段階のノンレム睡眠からはじまります。そして、第二段階、第三段階、第四段階へと次第に眠りは深くなっていき、次にレム睡眠へと移ります。
ノンレム睡眠とあとに続くレム睡眠をワンセットにして、睡眠の一単位といい、2つの睡眠は交互に出現します。ひと口に眠るといっても、90分の周期で、ノンレム睡眠とレム睡眠を一晩に4~5回くり返しているのです。ところで、睡眠でいちばん重要なのは睡眠時間ではなく、睡眠の質にあります。
つまり、熟睡しているかどうかということです。ノンレム睡眠の第三、第四段階の眠りが熟睡にあたります。
眠っているときに成長ホルモンが分泌されていますが、正確には最初に訪れるノンレム睡眠の第三、第四段階のときに大量に分泌されます。また、脳や身体の疲労回復や免疫能力などを最大限に高めるのも、熟睡しているこのときです。
短時間の睡眠でもこと足りるという人は、熟睡感を得ているからでしょう。ノンレム睡眠は睡眠の前半に深くなり、明け方には次第に浅くなっていきます。一方、レム睡眠は3~4回とくり返すごとにその持続時間は長くなっていきます。

睡眠形態は加齢とともに変化する

睡眠には、老若男女を問わず大きな個人差があり、一般に、年をとるにつれて質・量ともに低下していきます。生まれたばかりの赤ちゃんは、1日中ほとんど眠り続けていて、3~4時間ごとに目覚めます。乳を吸ったりオムツを換えてもらったあとは、またすぐに眠ってしまいます。このように、1日に何度も眠るタイプの睡眠を「多相性睡眠型」といいます。成長するにしたがって覚醒状態が長時間持続するようになります。
さらに、学童期には脳の発達と同時に学校に行くという社会環境の変化もあって、1日1回、夜だけ睡眠をとるようになります。これを「単相性睡眠型」といいます。
年をとると、次第に睡眠の形態が変わってきます。これは、加齢によって脳が萎縮し、眠りを生み出す能力が低下するために起こる現象で、眠りが浅くなったり、夜中や早朝に目が覚めるといったことが多くなります。朝早く目が覚めてしまうため、昼間うとうとと眠けが襲ってきて昼寝をするようになります。いわば、乳幼児のような睡眠に逆戻りする傾向がみられます