月別アーカイブ: 2015年1月

タオル枕

背骨のゆがみを取って熟睡をもたらす

睡眠によって私たちは1日の疲れを取り、明日の英気を養います。睡眠なくして健康はありません。良質な睡眠のためにはよい睡眠環境も必要です。
そこで、安眠へ導いてくれる、タオル2枚で簡単に作れる「タオル枕」をご紹介しましょう。枕は、単に頭や首をのせるためだけの道具ではかりません。実は、背骨に大きな影響を及ぼし、私たちの健康に大きくかかわっているのです。まちがった枕を使って毎晩眠っていると、背骨のゆがみや頭痛、肩こり、腰痛といったさまざまな不快症状をもたらすのです。

背骨は小さな椎骨という骨が連なってできていて、その連なりは部位によってそれぞれ名前がつけられています。首には7個の頸椎、背骨には12個の胸椎、腰には5個の腰椎があります。そして、腰椎の下には仙骨という骨があります。

背骨は前方から見ると1本の棒のように見えるかもしれませんが、側面から見ると、S字状のカープを描いています。いちばん上にある頸椎は、前方に湾曲し、真ん中の胸椎は、後方にふくらむように湾曲し、腰椎は頸椎と同じく前方に湾曲しています。しかし、理想的なバランスを保った背骨をしている人はまれで、本来はきれいな形をしている背骨も、その人の姿勢や日常生活、仕事の内容、運動不足などによって、ほとんどの人にゆがみが生じているといえます。こうした背骨のゆがみが、肩こりや腰痛、ひざの痛みなどの不快症状を生み、さらに背骨から出ている神経および背骨の周囲の血管に悪影響を及ぼして内臓の働きを衰えさせ、さまざまな不快症状となって現れるのです。

しかし、私たちの体にはもともとそのゆがみを正し、背骨のバランスを整えようとする力が働いています。ただ単に、あお向けに寝るだけでも筋肉がゆるんで背骨の緊張を軽減させ、自然にバランスの乱れを整えようとします。

ただし、長年の習慣で筋肉がかたくなっているとなかなかゆるみません。そこでを発揮してくれるのがタオル枕です。

首を矯正すれば背骨全体が改善する

背骨の周囲の筋肉は、後頭部から腰の下端、つまり仙骨まで連携しています。そうした筋肉の緊張をゆるめるためには、背骨の出発点である後頭部から首にかけての筋肉の緊張をゆるめれば、一気にそれに続く筋肉もゆるみます。

いわば、てこの原理のように、小さな刺激でも大きな力となって現れてくるわけです。その際にポイントとなるのが頚椎です。体の最大のウイークポイントである頚椎をタオル枕で正しく支えることで、その周囲の筋肉が自然にゆるみ、背骨全体の筋肉もゆるむことになります。
そうすると、背骨が本来の正しい形に戻っていくのです。タオル枕のすぐれている点は、自分の体の重みを利用して筋肉をゆるめたり、背骨のゆがみを矯正したりできるので、ほとんど力を使わないことです。力の弱いお年寄りや女性でも手軽にできます。毎日寝るときにタオル枕を使うだけで無理なく続けることができます。タオル枕の作り方は次のとおりです。

まず、浴用タオル( 30cm×90cmぐらい) とバスタオル( 50cm×110cmくらい)をそれぞれ1枚用意します。上質の厚いタオルをわざわざ用意する必要はなく、ある程度の厚みがあり、弾力性にすぐれたものであればかまいません。ただし、体にぴったりと気持ちよく当てられることが大切なので、使い古しのベラベラのタオルや日本てぬぐいは不適当といえます。

このタオル2枚以下のように折りたたんで枕を作ります。

タオル枕作り方

タオル枕作り方

これでタオル枕の完成です。なお、この基本のタオル枕だとロール部分が高く感じられて圧迫感がある人は、手順の5と6のバスタオルの長いほうの辺を4等分して4分の3まで折ってください。低すぎる場合はバスタオルの長いほうの辺を1回折ります。
あとは同様にロール状のタオルにのせて使います。

使い方は、まず、あお向けに寝て乳様突起(耳たぶのすぐ後ろにある骨の出っ張り) の下端の部分がロール状にした枕の左右の部分に当たるようにします。
うまく枕が当たると、頭がしっかりと収まり、なんともいえない安定感を感じます。そのまま後頭部はバスタオルの折った3分の2の部分にのせます。頭の位置が定まったら、両手を体の両側に自然に置きます。そして、鼻からゆっくりと息を吸い込みながら背すじを伸ばして胸を大きくふくらませます。吸い込めるだけ空気を吸い込んだら、次にバッと空気を吐き出します。この深呼吸を数回くり返すうちに、全身がリラックスしてきてさらに頭がスッポリと枕に収まり、頭の位置がしっかりと安定します。

その状態のまま気持ちをらくにして眠りにつきます。途中で寝返りを打って枕が頭からはずれてもかまいません。1日5分以上、首に枕が当たっていればじゅうぶん効果があります。タオル枕は長時間行う必要はなく、5分以上であれば日中に行ってもかまいませんし、タオル枕をしたあとはそのまま眠ってもよいでしょう。また、使い慣れた枕に替えて寝てもけっこうです。家庭療法としてすぐれたタオル枕を利用して、良質な睡眠にお役立てください。

温熱療法

血中の睡眠物質をふやす

不眠の人の肝臓の上を温めるとたまらなく眠くなり、深い熟睡感をいち早く得られることがわかりました。私は、昭和30年ごろから30年近く、慢性病の治療に泥土を応用する研究を続けてきました。これは、治療する体の各部分(関節、腰、肩、腹部) などに温めた泥土を当てるものです。ほどよく練った泥土を厚さ数cmにして蒸気で60~70度の熱さに加温します。そして、泥土全体の温度が一定になるように、もう一度よく練り直して、表面温度が40~50度、中心部が58~60度になるように扇風機で表面を冷やします。

すると、患者さんのほとんどが、温めた泥土を当てただけでたちまち眠りに入ったのです。いびきをかいて眠るというのは、睡眠の中でいちばん深い眠り。レム睡眠 に入っているということです。
この深い眠りは、ふつうの睡眠なら入眠後30~40分後に現れますが、泥土療法を行った患者さんは、治療開始後わずか10分ぐらいでこの深い眠りに入りました。
そこで、肝臓に行った温熱刺激が作用したものであろうと推測し、研究をはじめました。人間が眠くなるのは、血液中のトリプトファン(たんばく質を構成するアミノ酸の一種) がふえるためといわれています。
そこで、トリプトファンの量を調べてみました。すると、治療を開始したあとではトリプトファンが増加していたのです。これで肝臓を温めるとことで眠くなる理由が証明できました。

皮膚の上から直接温める

家庭で簡単に泥土療法と同じような効果を得られる方法をご紹介しましょう。薬局などで市販されているホットパックや化学保温剤を、水を入れた鍋に入れ、30分ほど火にかけます。はしなどでつかんで鍋から取り出し、タオルでくるみます。あお向けに寝て体の右側の肋骨の下に、やけどしないようにタオルでくるんだままのホットパックを皮膚にじかに当てるようにします。
15~20分ぐらいで眠くなってきますので、眠けが襲ってきたらすぐさまホットパックを取り出して、皮膚の水気をよくふき取ってから寝るようにしましょう。
また、ひどい不眠症の人は、肝臓への温熱療法とともに、夜寝る前の足浴を組み合わせるとさらに効果的です。
足浴は、バケツの中に40度ぐらいのお湯を入れ、両足のふくらはぎの中ほどぐらいまでを5分間以上浸します。そのあとは両足の水気をじゅうぶんにふき取って、乾いたバスタオルで両足を包んでそのまま寝床に入ります。

禅ストレッチ

体をやわらかくしてリラックスし、心身のバランスを調整

心と体のバランスを調整するため、スポーツと同様の効果がある「禅ストレッチ」です。。体がかたいと感じるときには、実は体の表面ばかりでなく、神経・内臓・血管といった体の内部までがかたくなっていることが多いようです。
ストレッチ運動をして内臓や血管など体の中まで柔軟にしておくことが必要です。ストレッチは座ったままでも寝転がったままでもでき、相手もいりません。深い腹式呼吸とともに行うことによって血行も促進され、リラックス効果ももたらされます。また、ストレッチ運動が精神安定効果を促して不眠やイライラなどの症状にも効果があることがわかりました。
こうした観点から、ストレッチ運動の重要性を痛感し、禅ストレッチとして症状別にまとめました。ストレッチ運動を行う前に、次のような注意点があります。

  1. 痛いのを我慢してまでやらない
  2. 動きやすい服装で行う
  3. 少しずつ継続して行う

次に不眠に効きめのあるストレッチ法を紹介します。このストレッチ法と合わせて腹式呼吸と自律訓練法を行うとさらに効果的です。深い腹式呼吸は精神を安定させて体の緊張を解きほぐします。

1日の整理をして熟睡をもたらす足抱え

心地よく深い眠りを得るためには、昼間の活動量をふやすことです。昼間の運動量が少ないのであれば、適度なストレッチが必要となります。そのためには、眠る前に1日の整理体操のつもりで、「片足抱え」を行ってください。

1日の疲れをクールダウンする片足抱え

  1. 体をあお向けにしてゆっくりと深い腹式呼吸を数回行う
  2. 呼吸が落ち着いてきたら片足を深く曲げて両手で抱える
  3. ももをおなかにつけるように強く曲げ、そのまま10秒間維持する。もう片方の足も同様に行う