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目覚めをさわやかにする眠り方

目覚めのよい睡眠サイクルを知る

ひどい睡眠障害を起こすと、免疫機能(体の防御機構) も低下するので、さまざまな病気にもかかりやすくなります。私たちが健康で満足できる生活を送るためには、健康な睡眠の確保が必要というわけです。

睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠という2種類の眠りがあり、通常の睡眠ではこのノンレム睡眠からレム睡眠へとつながる眠りが、約90分で1サイクルとなって、1晩に4~5回くり返されています。ノンレム睡眠は脳を深く休息させ、レしかんム睡眠は脳を目覚めさせて筋肉を弛緩させ、体を休めるという異なる働きがあります。

そのため、一方が多くても少なくても満足いく睡眠は得られません。時間的にはじゅうぶん寝ているはずなのに、目が覚めてからも疲労感が続いたり、寝足りないと感じたり、頭がボーッとして働かないのは、覚醒の準備段階であるレム睡眠ではなく、脳が深く眠っているノンレム睡眠の段階で無理やり起きていることが原因です。

つまり、気持ちよく起きるためにはサイクルの途中で目覚めてはだめだということなのです。睡眠時間にこだわって、ノンレム睡眠の最中に目覚めるよりも、1サイクルが終わるレム睡眠のところで目覚めるほうが、脳と体の休息のバランスが取れて気持ちよくすっきりと目覚めることができるのです。

そこで、寝入る時間から計算して、眠りの1サイクルである90分の4倍か5倍の6時間後か7時間半後に目覚まし時計をセットするようにします。
こうすれば、ちょうど1サイクルの終わりにあるレム睡眠のときに目覚めることができます。ただし、眠りの1一サイクルの長さは人により若干の違いがあり、80分だったり100分だったりします。また、床についてから深いノンレム睡眠に入っていく時間にも個人差がありますが、目覚める前のレム睡眠の時間は30分程度長くなっていますので、厳密に考えなくても若干のずれは許容範囲に入ると思います。

今まで8時間寝ていたなら、20分程度早く起きてみてください。そして、自分の眠りのサイクルと違うと感じたときには、さらに10~20分睡眠時間を増減させて計算し直します。これを何度か試しているうちにすっと目覚められるときがあるので、その時間を4か5で割ると自分の一サイクルの時間がわかります。

また、目覚まし時計が鳴る前にすっきりと目覚めることがあったら、そのときの睡眠時間を4か5で割っても一サイクルを割り出すことができます。そして、次回からは、自分の1サイクルに4か5を掛けた時間に、目覚まし時計をセットすればよいのです。こうして自分の眠りのサイクルを知って、起床時間を決めれば、今までとっていた睡眠時間より短い時間でも、満足のいく睡眠時間が得られます。ただし、健康のために睡眠時間は最低でも4サイクル、6時間以上は確保したいものです。

熟睡のための3つのポイント

起きている時間が長いほど熟睡できる

質のよい眠りとは簡単にいうとぐっすり眠れる熟睡のことです。適切な睡眠時間には個人差があり、大きく3つのタイプに分かれます。
一般的に、毎日規則的に6時間以下の睡眠ですむ人を短眠者、9時間以上睡眠をとらないとだめな人を長眠者、昼寝や居眠りが欠かせない人を過眠者と呼ばれています。

このうち、もっとも質のよい眠りを得られるのは短眠者といえます。というのは、人間の体が自然な睡眠の欲求に応じて、必要な睡眠だけを最初に優先的にとろうとするからです。この睡眠の欲求というのは、起きている時間が長ければ長いほど高まります。したがって、起きている時間が長いほど熟睡しやすくなるのです。

一方、長眠者や過眠者の人は、短眠者にくらべて起きている時間が短いので、夜間の睡眠欲求があまり強くわいてきません。そのため、熟睡感が得られにくいといえます。
昼寝や居眠りが欠かせない過眠者の人も、長眠者と同様、起きている時間が短く夜間の睡眠欲求が低いので質のよい眠りが得られにくい状態になってしまうのです。

加齢とともに一般的に眠りは浅くなりますが、ポイントはなるべく長く起きているようにして長眠や過眠を直すことです。もう1一つ大切なことは、寝起きのリズムを毎日正しくくり返すことです。

人間の生活リズムは、ついつい遅いほうにずれていく性質があります、努力してせっかくよい睡眠リズムができても、つい居眠りをしてリズムをこわし、夜眠れなくなることだけは避けたいものです。毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけるようにしましょう。

午後9時~午前2時までが就寝時間帯

また、眠るための条件や環境の整備も大切です。一般的に、就寝時間帯は午後9時から午前2時の間といわれています。この時間帯の中で、自分の生活リズムに合った時間を探せば熟睡感も高められます。
また、年をとると多少の音でも熟睡の妨げとなります。音の刺激からできるだけ離れたところで眠るようにし、騒音のひどい立地に住む人は、耳栓や厚いカーテンなどを利用して防音するとよいでしょう。
寝具も寝心地のよい素材に変えてみたり、自分に合った枕を探したりなどの工夫が必要です。
眠りに入る前の精神状態も質のよい眠りを得るには重要なポイントです。心配事や悩み事は寝床ではできるだけ思い出さないようにして、穏やかな気持ちで眠りに入るようにしましょう。

質のよい眠り(熟睡)を得るためには、自分の体が求める自然な睡眠の欲求に応じて短時間で眠ることが大切です。

  1. 起きている時間を長くする
  2. 寝る環境をかえる
  3. 寝る時間と起きる時間を規則正しくする

この3を改善することでよい眠りを得られるはずです。

正しい睡眠リズムが安定した睡眠につながる

睡眠障害は生体リズムの乱れが原因

起きられなくて登校できない子どもがここ数年で目立ってふえてきています。こうした子どもたちを診察していくうちに、多くの場合、睡眠障害があり、その背後には「生体リズム」の狂いが関わっていることがわかってきました。

    1. 潮の干満による「潮汐リズム
    2. 地球の自転による「概日リズム」、
    3. 月の公転による「概月リズム」
    4. 地球の公転による「概年リズム

    の4つのリズムがあります。このうち、生活するうえでもっとも大切なのが2番目の概日リズムです。この概日リズムには、
    「睡眠覚醒リズム」「深部体温リズム」「ホルモン分泌リズム」があり、これら3つのリズムがうまくかみ合うことで睡眠がうまくいき、健康を維持しているのです。

    夜遅くなると眠りにつき、朝明るくなると起きて活動するという睡眠覚醒リズムを人類の起源より営々と続けてきました。この睡眠覚醒リズムに同調するように、体温も変化するのです。

    ふつう、深部体温は深夜の3~4時に35度台ともっとも低くなり、それから上昇して午前2時ごろに36度台に達し、午後に37度台とピークに達します。このあと、夜にかけて再び低下するわけですが、ホルモンも体温の変化に合わせて分泌されます。

    朝起きる前になると、コルチゾールが分泌されます。これは、体を目覚めさせ、日中の活動を支えてやる気を起こさせるホルモンです。

    一方、暗くなると脳の松果体という部分からメラトニンが分泌されます。これは、「暗くなりました、寝る時間ですよ」と知らせ、眠って休養する時間を教える働きをするホルモンです。
    メラトニンの分泌のピークは、夜中の0~2時ごろといわれています。これに対し、コルチゾールの分泌のピークは午前6~7時です。コルチゾールは、深部体温がいちばん低い時間から3時間をめどに一気に分泌する傾向がありますから、理想の睡眠時間を7~8時間と考えると、個人差はありますが、夜中の0時までに床につくのがベストといえるでしょう。

    睡眠ホルモン「メラトニン」
    https://mela-guide.com/

    しかし、昨今では、夜中の0時ごろに床につく人は少なくなってきているのが現状です。光や情報が氾濫している現代では、夜遅くどころか、朝早くまで起きている人が多くなってきています。

    これまで夜中の0時に寝ていた人が、2時、3時まで起きていることもよく見られるようになってきました。そうすると、深部体温がもっとも低くなる夜中の3~4時から朝の5~6時にずれると、コルチゾールが分泌されるのは朝の8~9時になります。その時間まで寝ていられる人は、それでも生活のリズムが単にずれるだけですから問題はありません。

    しかし、会社勤めや学校通いをしている人は、夜遅くなっても朝は起きなければなりません。まだ目覚めて活動を促すホルモンが分泌されていないのに、動き出さなくてはならないため、そこには当然無理が生じてきます。そんな生活を1ヶ月も続けていると、ホルモンの分泌リズムがバラバラになり、就寝時間がどんどん遅くなっていき、やがて昼夜の区別がつかなくなったり、起きる時間が午後や夕方になってしまうような睡眠障害を起こすようになることもあります。

    こうした睡眠障害は、単に起きる時間が遅くなって社会生活に支障をきたすだけにとどまりません。睡眠は、浅い眠りから深い眠りへの4段階に分かれ、この移行を毎晩4~5回くり返しています。しかし、睡眠障害があると、このリズムに乱れが生じ、深い眠りで脳や体に休息をとらせて回復させる「深睡眠」や、睡眠中に記憶など情報の整理をする「レム睡眠」がじゅうぶんにとれなくなってしまうのです。深睡眠やレム睡眠がうまく働かなければ、脳が疲労し、さまざまな障害を引き起こします。睡眠障害の典型的な症状は、腹痛や頭痛、吐きけ、めまいなどにはじまって、やがて持続力、集中力、判断力の低下が認められるようになり、自分の考えをまとめて人に伝えることがうまくいかないような事態にまで及びます。

    大人には就寝時時間を決めることで質のいい眠りになるはとても試してみる価値がありそうです。

    ストレスで崩れる睡眠リズム

    睡眠障害によって、まだ十代の子どもたちにも老人性痴呆のような生気のないうつろな状態がもたらされます。8割の人に前頭葉や後頭葉での血流の低下が認められました。

    前頭葉は、判断したり創造したり、言葉を理解したり、記憶したりといった重要な働きをつかさどっており、後頭葉は視覚をつかさどっています。どちらも大切な役割を果たす部分です。そこで、脳機能の低下までを引き起こす睡眠障害の原因を明らかにするため、子どもたちの生活を調べてみました。すると、このような子どもたちは、過度の緊張状態に置かれている場合が多いことがわかりました。し受験勉強などのストレスが脳にある視床下部に影響を与え、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓などの働きを調整する神経) の働きが悪くなり、さらに体温のリズムやホルモンの分泌リズムが乱れて睡眠障害を引き起こしていると考えられます。
    自律神経の機能を支配している中枢が脳の視床下部という部分なのです。もちろん、睡眠障害は子どもだけに限りません。むしろ、社会的立場や責任も重い中高年のほうがより起こしやすいはずです。睡眠障害は脳を疲れさせますから、油断しているとボケにもつながります。朝起きるのが急につらくなったり、人づきあいがおっくうになったりしたら、注意が必要です。思い切って休みを取り、何か仕事以外に楽しみを見いだすのが最善の対処法です。

ボケを防ぐ眠り方

短時間の昼寝が高齢者の不眠に有効

高齢になると、睡眠がうまくとれなくなる人が増えてきます。不眠は、高齢者の生活全般の質を悪化させる原因ともなります。

というのは、睡眠不足になることで高齢者の社会活動や家族・友人との協調的な生活が阻害されることになり、ますます内に引きこもりがちになってくるおそれがあるからです。

さらに、脳の機能の働きが阻害されるため、運動神経や反射神経が鈍り、ちょっとしたことで転んだり、ぶつかったりすることが多くなり、このことが寝たきりのきっかけとなることもあります。睡眠障害の中でも、とくに高齢者に多くみられるのが、不眠症です。不眠症は、50歳以降の初老期から老年期にかけてふえ、とくに女性の発症率がふえることが知られています。

不眠には、寝つきが悪い、睡眠中にしばしば目が覚めてしまう、まだ眠いのに朝早く目が覚めてしまって再び眠ることができない、じゆうぶんな時間眠ったのに、熟睡感が得られない、などのタイプがあります。

また、高齢者にとくに多いのが、1ヶ月以上も眠れないと訴え続ける、長期にわたる不眠です。不眠症に対する治療法はいろいろありますが、最近、自分でできる対策として、昼寝の有効性が注目されるようになりました。これまでは、高齢の不眠症患者に対して、昼寝を禁止する指導が行われてきました。

日中の昼寝が夜間の睡眠の妨げになると考えられてきたからです。しかし、実際に夜間の睡眠を妨げていたのは、夜間の主睡眠間際の眠りや、1時間以上にわたるような昼寝でした。これらは、夜間にとるべき睡眠が、不規則に日中に入り込んだものであり、こうした居眠りが主睡眠前の脳に悪影響を与え、不眠を招いていたのです。逆に、短時間の昼寝を習慣的、積極的にとっている高齢者には、日中の居眠りやう不眠症の発生が少ないことが調査の結果明らかになりました。

大切なのは深い眠りに入る前に起きる

実際に行った実験でも、60~79代の男女に、午後1~2時の間に30分間の昼寝を習慣的にとってもらったところ、眠りに入りやすくなり、しかも睡眠中に目が覚めることが減少し、起床時に熟睡感が得られることが実証されました。

また、統計的には健康な睡眠の人が多い沖縄の那覇圏と睡眠障害の多い東京圏で、高齢者の生活習慣の比較調査を行ったところ、那覇圏では、週三日以上昼寝をすると回答した人の割合が格段に高く、一方、東京圏では夕方に居眠りする人の割合が那覇圏にくらべて2倍以上もありました。これらの結果からも、午後1~2時の間に30分以内の昼寝を行うことは、高齢者の場合、昼寝から覚めてから夕方にかけての活動状態を、質的に改善することがわかります。これが、夜間不眠を改善する直接的な効果であると考えられます。ここで、昼寝を行うときの注意ですが、昼寝は毎日行わなくてもかまいません。最低週3回以上、意識的、習慣的に昼寝を行えばよいと考えてください

また、30分間という昼寝時間ですが、30分間熟睡するということではなく、横になってから起き上がるまでの時間です。この昼寝は、深い睡眠に入る前に目覚めることがポイントです。深い睡眠に入ってしまってから起きたのでは逆効果なので、昼寝の前には必ず目覚まし時計をセットして、30分以内で起きるようにしてください。

深い眠りに入りにくい高齢者は30分でもだいじょうぶですが、深い眠りに入りやすい成人期から中年の方は20分間、お子さんは15分間を目安に起きるとよいでしょう。

また、昼寝をする時間は起きてから7時間後が最適です。若いうちは1日でいちばん体温が上がる少し前の午後3~4時に眠くなりますが、高齢者の場合、就寝時間と起床時間が若年者とくらべて2時間ほど早くなっているので、昼間に眠くなる時間も2時間ほどずれます。高齢者に適した昼寝の時間は午後1~2時になります。このほか、朝起きたら一度外に出て日光を浴びたり、午後5時ごろ散歩をしたりすることも健康な睡眠の確保のために効果的です。

アルツハイマーを予防する効果も

30分間の規則的な昼寝が、アルツハイマー病(脳の組織が萎縮して痴呆に至る病気) の発症の危険性をなんと5分の1にまで下げるという調査報告があります。
この研究によると、1時間以上の昼寝習慣ではアルツハイマーの予防効果はないということです。睡眠には一定時間以上眠りに入ってしまうと、脳も体も深い眠りに向かい、じゆうぶんに眠りきらない状態で起きようとしても、覚醒への切り替えがうまくいかなくなる性質があります。

1時間以上の長時間の昼寝では、昼寝後も半分眠っているようなボーッとした状態が続いてしまうのはそのためです。一方、規則的な短時間の昼寝習慣は脳をリフレッシュさせ、意欲的な生活を送ることができます。その結果、活発で健全な精神活動が行われて、アルツハイマー病の発症を予防していると考えられます。アルツハイマー病を発症する危険因子には従来、遺伝子や加齢がいわれてきましたが、近年、ライフスタイルも重要視されるようになり、協調性を持ち、積極的に社会活動をする質のよい生活が、アルツハイマー予防に有効であると考えられています。

短時間の昼寝でも血圧が下がる

小刻みな仮眠のもたらす効果

ふつう、人間は、夜に8時間寝ても、起きている間に強い眠けに襲われます。若者なら午後の2時~3時ごろ、高齢者だと正午~1時ごろ、急に眠けを感じるという人が多く、このような睡魔やそれが引き起こす体のだるさ、集中力の欠如などの予防にはごく短時間の睡眠が有効であることは以前からよくいわれてきました。

たとえば、ロサンゼルスの森林消防隊員は、火災が起きるとまとまった睡眠をとれない状態が1週間も2週間も続きます。このようなとき、彼らは15~20分程度の小刻みな睡眠をこまめにとります。さらに、大休止として、一定の間隔をおいて約90分の睡眠をとるようにしています。

これは、人間の睡眠がレム睡眠(浅い眠り) とノンレム睡眠(深い眠り) がワンセットになっており、このセットのくり返しが睡眠の本体であるという科学的根拠に基づいています。

15~20分というのは、寝入りばなに起こるノンレム睡眠の中の最初の軽眠期の長さで、約90分というのは、ノンレム睡眠とそのあとにくるレム睡眠とを合わせた一サイクルの時間になります。

彼ら消防隊員は、効率のよい睡眠をとることで、強い体力と判断力が要求されるハードな仕事を確実にこなしているのです。

こうした仮眠を「昼寝」に置き換え、高齢者の健康や脳の活性化に有効に作用するかどうかをテーマに、研究・調査を重ねてきました。その結果、現段階では昼寝の次のような成果を確認することができました。

  • 昼寝は血圧を下げる効果がある
  • 昼寝は午後の眠けを防止し、気分を改善する効果がある
  • 昼寝は集中力や判断力を高め、「うっかりミス」を防ぐ効果がある

このうち、1の「昼寝と血圧」の関係についてです。

昼寝が高血圧に効果を発揮

週3回以上の昼寝の習慣がある65歳以上の10人に協力を依頼し、2週間定期的に研究室に来所していただき、実験プログラムを実施してもらいました。

朝9時に脳波を測定する電極を装着したり、これから行う課題の練習をしながら体なを馴らし、10時から2時間、実験室でコンピュータゲームのようなことをやってもらいます。たとえば、画面に1けたの数字が次々と出てきて、「3」が出たらチェックボタンを押すというような簡単なものです。

ふつうなら年齢の別なく、だれでも満点がとれますが、注意力が散漫になると見逃すこともあります。このようなテストを8分間行ったあとで、気分や眠けをひとりひとり確認します。この作業を30分に4回くり返し、毎回作業の開始時に脳波を測定します。そして食事のあと、全員が血圧を測定してから、同じ人で日によって昼寝をする日と、昼寝をしないで休憩するだけの日を交互にくり返します。休憩だけの日は、自由にテレビやビデオを観たりして過ごします。昼寝をする日は、入眠後30分たったところで呼びかけて起こします。
ここで、再び全員の血圧を測定し、変化を確認します。血圧の状態が良好なら、2回目のセッションに入ります。以上の内容で、2週間にわたって反復実験しました。

血圧に関しては、収縮期血圧(最大血圧) には顕著な差は認められなかったものの、拡張期血圧(最小血圧)のほうは昼寝のあと、平均8mmHG程度の幅で明らかに下がっています。12~13mmHG下がった人もいました。

効率よい昼寝の習慣をつけて健康な毎日を

実験結果は、昼寝が血圧降下に明らかに効果があることを示しています。被験者の方たちは高齢で血圧も年齢相応に高めですが、とくに高血圧症の人はいませんでした。高血圧症の方を対象に実験をすると、さらに下げ幅は大きくなると推測できます。
昼寝の習慣のある人は、ボケる率が少ないとか健康によいといった統計データを出していますが、「高血圧の改善にも効果があるということも裏付けられたといえるでしょう。

昼寝の効果を確実にするためのポイントは、「寝すぎないこと」です。被験者の方たちは高齢ということで総じて眠りが浅く、そのため昼寝の時間を30分としましたが、若い方なら15分程度でもじゅうぶんです。

それ以上とると熟睡してしまい、目覚めても頭がボーッとして回復に時間がかかります。最悪なのは、50分ぐらいの睡眠です。睡眠サイクルのちょうど中間で起きてしまうことになり、睡眠慣性( このまま眠り続けたいという惰性) が続き、覚醒するのに30~40分かかってしまいます。

中途半端に睡眠を途切れさせるよりも、いっそのこと一サイクルの90分くらい眠ってしまったほうが目覚めはよくなります。

15分といってもそんなに簡単に寝つけないという場合は、寝つくまでの時間をある程度予測して目覚まし時計をセットします。寝つくのに5分かかりそうなら20分後に、10分かかりそうなら25分後にセットします。

昼寝の習慣が今までなかった人ははじめは寝つきも悪いでしょうが、習慣化していくことによってだんだんスムーズに寝つけるようになり、目覚まし時計がなくても起きたい時間に扱きられるようになってきます。健康でメリハリのある毎日のため、昼寝を生活に上手に取り入れましょう。

快眠につながる昼寝はこちら。