正しい睡眠リズムが安定した睡眠につながる

睡眠障害は生体リズムの乱れが原因

起きられなくて登校できない子どもがここ数年で目立ってふえてきています。こうした子どもたちを診察していくうちに、多くの場合、睡眠障害があり、その背後には「生体リズム」の狂いが関わっていることがわかってきました。

    1. 潮の干満による「潮汐リズム
    2. 地球の自転による「概日リズム」、
    3. 月の公転による「概月リズム」
    4. 地球の公転による「概年リズム

    の4つのリズムがあります。このうち、生活するうえでもっとも大切なのが2番目の概日リズムです。この概日リズムには、
    「睡眠覚醒リズム」「深部体温リズム」「ホルモン分泌リズム」があり、これら3つのリズムがうまくかみ合うことで睡眠がうまくいき、健康を維持しているのです。

    夜遅くなると眠りにつき、朝明るくなると起きて活動するという睡眠覚醒リズムを人類の起源より営々と続けてきました。この睡眠覚醒リズムに同調するように、体温も変化するのです。

    ふつう、深部体温は深夜の3~4時に35度台ともっとも低くなり、それから上昇して午前2時ごろに36度台に達し、午後に37度台とピークに達します。このあと、夜にかけて再び低下するわけですが、ホルモンも体温の変化に合わせて分泌されます。

    朝起きる前になると、コルチゾールが分泌されます。これは、体を目覚めさせ、日中の活動を支えてやる気を起こさせるホルモンです。

    一方、暗くなると脳の松果体という部分からメラトニンが分泌されます。これは、「暗くなりました、寝る時間ですよ」と知らせ、眠って休養する時間を教える働きをするホルモンです。
    メラトニンの分泌のピークは、夜中の0~2時ごろといわれています。これに対し、コルチゾールの分泌のピークは午前6~7時です。コルチゾールは、深部体温がいちばん低い時間から3時間をめどに一気に分泌する傾向がありますから、理想の睡眠時間を7~8時間と考えると、個人差はありますが、夜中の0時までに床につくのがベストといえるでしょう。

    睡眠ホルモン「メラトニン」
    https://mela-guide.com/

    しかし、昨今では、夜中の0時ごろに床につく人は少なくなってきているのが現状です。光や情報が氾濫している現代では、夜遅くどころか、朝早くまで起きている人が多くなってきています。

    これまで夜中の0時に寝ていた人が、2時、3時まで起きていることもよく見られるようになってきました。そうすると、深部体温がもっとも低くなる夜中の3~4時から朝の5~6時にずれると、コルチゾールが分泌されるのは朝の8~9時になります。その時間まで寝ていられる人は、それでも生活のリズムが単にずれるだけですから問題はありません。

    しかし、会社勤めや学校通いをしている人は、夜遅くなっても朝は起きなければなりません。まだ目覚めて活動を促すホルモンが分泌されていないのに、動き出さなくてはならないため、そこには当然無理が生じてきます。そんな生活を1ヶ月も続けていると、ホルモンの分泌リズムがバラバラになり、就寝時間がどんどん遅くなっていき、やがて昼夜の区別がつかなくなったり、起きる時間が午後や夕方になってしまうような睡眠障害を起こすようになることもあります。

    こうした睡眠障害は、単に起きる時間が遅くなって社会生活に支障をきたすだけにとどまりません。睡眠は、浅い眠りから深い眠りへの4段階に分かれ、この移行を毎晩4~5回くり返しています。しかし、睡眠障害があると、このリズムに乱れが生じ、深い眠りで脳や体に休息をとらせて回復させる「深睡眠」や、睡眠中に記憶など情報の整理をする「レム睡眠」がじゅうぶんにとれなくなってしまうのです。深睡眠やレム睡眠がうまく働かなければ、脳が疲労し、さまざまな障害を引き起こします。睡眠障害の典型的な症状は、腹痛や頭痛、吐きけ、めまいなどにはじまって、やがて持続力、集中力、判断力の低下が認められるようになり、自分の考えをまとめて人に伝えることがうまくいかないような事態にまで及びます。

    大人には就寝時時間を決めることで質のいい眠りになるはとても試してみる価値がありそうです。

    ストレスで崩れる睡眠リズム

    睡眠障害によって、まだ十代の子どもたちにも老人性痴呆のような生気のないうつろな状態がもたらされます。8割の人に前頭葉や後頭葉での血流の低下が認められました。

    前頭葉は、判断したり創造したり、言葉を理解したり、記憶したりといった重要な働きをつかさどっており、後頭葉は視覚をつかさどっています。どちらも大切な役割を果たす部分です。そこで、脳機能の低下までを引き起こす睡眠障害の原因を明らかにするため、子どもたちの生活を調べてみました。すると、このような子どもたちは、過度の緊張状態に置かれている場合が多いことがわかりました。し受験勉強などのストレスが脳にある視床下部に影響を与え、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓などの働きを調整する神経) の働きが悪くなり、さらに体温のリズムやホルモンの分泌リズムが乱れて睡眠障害を引き起こしていると考えられます。
    自律神経の機能を支配している中枢が脳の視床下部という部分なのです。もちろん、睡眠障害は子どもだけに限りません。むしろ、社会的立場や責任も重い中高年のほうがより起こしやすいはずです。睡眠障害は脳を疲れさせますから、油断しているとボケにもつながります。朝起きるのが急につらくなったり、人づきあいがおっくうになったりしたら、注意が必要です。思い切って休みを取り、何か仕事以外に楽しみを見いだすのが最善の対処法です。

This entry was posted in 健康は良質な睡眠から.