メラトニン は食品の摂取と散歩とで分泌できる 睡眠誘発物質

一般食品からも摂取できるメラトニン

メラトニン サプリ は不眠の解消に効果があるとされ、数年前からアメリカで注目された錠剤の健康食品です。いわゆる睡眠薬とは異なり、安全で自然な睡眠が得られるということでブームとなりました。その情報は日本にもすぐに伝わりましたが、いまだに医薬品としての認可がされていません。また、アメリカではメラトニンの中毒患者が新聞報道されたりするなど、安全性が疑問視されていますが、適正な用量を守ればそれほど危険なものではありません。

しかし、ほかの薬物やアルコールとの併用による相互作用については、不明な点が多いのは事実です。新聞報道された中毒患者については、メラトニンをほかの薬やアルコールと併用した結果、意識障害が生じたという可能性もあり、そういった服用方法は危険です。

また、もう1つの中毒の原因として考えられることとしては、メラトニンの錠剤に不純物が含まれていた可能性があります。このことが、現在報道されているメラトニン中毒の原因としてもっとも疑われます。

メラトニンを服用するときには、通常、アメリカなどで市販されている錠剤の健康食品を個人輸入して飲むわけです。現在、多くのメーカーがメラトニンを健康食品として販売していますが、その一部のメーカーが、経済性重視のために粗悪品を販売した可能性が考えられます。
この場合、メラトニン中毒というよりは、むしろ特定のメラトニン錠剤中毒と考えられます。したがって、アメリカなどで市販されているメラトニンの錠剤を服用される場合、比較的多くの方が購入されている製品を選択されるのがよいと思われます。ただし、その判断材料が実際のところ乏しいため、責任の所在が個人にあることをよく認識したうえで服用されるべきです。以上のように、錠剤の服用に不安を感じる方におすすめしたいのが、食品からメラトニンをとる方法です。

カイワレダイコンやシュンギク、アシタバなどに比較的多くのメラトニンが含まれています。ただ、メラトニンを多く含む食品も、錠剤と比較するとメラトニン含有量はきわめて微量で、多量に食べたとしても効果はなかなか期待できません。そこで、メラトニンを直接摂取することと代用できる方法があります。それは、メラトニン生合成の前駆物質、すなわち私たちの体内で日常 メラトニン が作られるときの「材料」を食品から摂取する方法です。

これが トリプトファン という物質で、メラトニンの素となります。メラトニンにくらべて多量に食品に含有されています。しかも、トリプトファンの摂取により、体内のメラトニン量が増加することは、実験的に証明されています。

トリプトファン は、メチオニンやフェニルアラニンと同じく、 必須アミノ酸 のひとつです。トリプトファンを比較的多量に含有する食品には、麩( ふ )、くるみ、ゴマ、落花生、ゆば、カジキ、カツオ、カツオ節、サンマ、タラコ、ブリ、鶏レバー、チーズ、海苔、ココアなどがあります。

快眠のためバランスのよい食生活を心がけましょう。

メラトニンの分泌を促す朝の散歩

食品以外で快眠に有効な方法が、散歩です。散歩は体内のメラトニン分泌に影響を及ぼします。午前中に散歩をして太陽にあたる、目の網膜(眼球の内側にある膜) から神経に連絡された信号が、メラトニンの合成期間である脳の「松果体」に運ばれ、メラトニン合成を強く抑制します。
これにより、日中のメラトニン分泌が低下し、夜間のメラトニン分泌が上昇します。一部のホテルなどで時差ボケ対策として用いられている光療法は、この原理にもとづくものです。

なお、夜間、入眠直前まで強い光に当たるのは、メラトニンを低下させる原因になりますから、寝室は暗くしておくのがよいでしょう。散歩の効用は、メラトニン分泌の抑制のみならず、適度な運動の確保と食欲増進にも頁献し、しかも気分転換といった精神的効果も期待できますので、ぜひ日常生活に取り入れましょう。

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